gohan_yoru



ワンプレートにのせた

オムライスとウニくらげのペンネ

黄桃・キウイ・レモントマト。

それにクラムチャウダー


体調がわるいらしく、とても疲れた声で

今から帰るねと連絡があった。

帰宅する頃合をみて、お料理をあたため直し

テーブルに並べ終える。


帰ってきて手を洗ったらすぐに

いただきますが出来るように

クッションに座って待っていた。


時間が過ぎていく。

帰ってこない。連絡もない・・・


寄り道するのは いい。

忙しい日々、少しでも

楽しみをみつけられるように

どんどんした方がいいって思っている。


そいでするなら、どれくらい遅くなるのか

伝えてもらえたらと思う。


クッションの上に石がひとつ

あっためたお料理がつめたくなっていく


石のくせに、涙をこぼす


言葉がほしい

ひとことがほしいという

シンプルはちっとも伝わっていなかった


待っている心はくるしい

どんどん深刻になっていく、わるいクセ


待たなければいい

それでもおなじ夜におなじ部屋で

だいすきなきみと一緒に

夜ごはん、たべたいんだもの


何度もあっため直していると

家政婦さんになったような気持がしてくる

夫婦ならともかく

恋人、という不確かなふたりが揃い

おなじ屋根の下で暮らしていること


仕事から帰って

ごはんが用意されてるのって

当たり前のことなのだろうか


くまちゃんの口からそういうの

聞いたことなかった。

じっこに対してはともかく

父やわたしには一度もないと思う。


自分の狭量さが身にしみる。


メソメソしながら寝室に行き、

毛布にもぐりこんだ


しばらくしてダーリンが帰ってきた


朝から晩までお仕事をして

疲れているというのに


こんなコにまともにつきあっていたら

それこそ時間がもったいない

ひとりでごはんたべてと伝える


他にもイジワルなことを口にした


一生懸命にごめんねを繰り返す

ダーリンに そっぽを向いていた


散々スネた後、やっぱり今夜のうちに

仲良しに戻らないとダメだと居間に向かう


恋人がひとりでかなしい顔をして

ごはんをたべていた


思い出したら

またかなしくなってくる

あんな表情をさせてしまった


ぽつんぽつん

お話していると笑顔が戻ってきた。


一緒にたべるということも

一緒にわらうということも

一緒に眠るということも

あたり前じゃないことを、知る。


毛布の中で考えていた

いつ何があるかしれない世界のこと


これからのわたしの生き道に

彼が居ない日が来ることを想像した

まっしろなのか、まっくろなのか分からないけれど

そこには はてのないぜつぼうが 広がっていた


壊すのはきっとわたし


ふたりを壊すんじゃなくて

こり固まり、気を揉んでしまう

自分の心をやっつけたい。


ぐだぐだ言うのもチクチク言うのも

本当に厭だ。心が汚くキュッと縮んでいくよう。


伝えないと伝わらない。

伝わらないからと言って あきらめちゃダメだ。


だいすきと想う気持だけが

よりどころになっていくんじゃなくて

みえない大切な何かを

二人で作っていかなきゃと想う。


 きみをせめる ぼくをけして

 きみにそっとふく かぜになりたい

 そばにいるだけの かぜになりたい


透明なソヨリティを心に流す。